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長寿の道は、「自立自尊」:QOLからQODへの展開




                     
要介護の原因疾患の内訳


1. 時代背景:健康寿命
  平均寿命は、その年に生まれた子供が平均で何歳まで生きるかを予測した数値を表す。終戦直後の1947年では男女とも50歳代であったが、2013年の統計では男性80.21歳、女性86.6歳となった。
  2000年に、WHO(世界保健機関)が
QOL(Quolity of Life 生活の質)を重視する考え方から、健康で支障なく日常の生活を送ることができる「健康寿命」の概念を公表した。
  日本では、2000年4月から介護認定制度がスタートし、自力での「歩行、入浴、排泄」が困難な要介護者の実態把握ができるようになった。厚生労働省は、2010年(平成22年)に平均健康寿命は男性が70.42歳、女性が73.62歳である具体的な推計値を初めて公表した。
  健康寿命は、病気があるなしに関わらず、介護を受けない「自立自尊」の生活ができることを意味している。

2. 65歳からの人生計画オプションの自己選択:最終選択は「死に方」(QOD:Quolity of Death 死の質)
  老後の生活設計を65歳から予め考えながら今を生きる姿勢が求められる。家持の人は家族同居か独居生活の選択が必要である。家族に迷惑をかけたくないと思う人はサービス付高齢者住宅(サ高住)かお金があれば有料老人ホームを選択するかもしれない。何れも自立生活が基本となる。
  何らかの介護が必要になる時、在宅介護か施設介護かを選択しなければならない。施設介護には、介護老人保健施設(老健)と特別養護老人ホーム(特養)がある。最終的には男性9.13年、女性12.68年の介護期間を得て、死に至ることになる。在宅介護のまま在宅死を迎えるとは限らず、死の直前に救急病院に救急搬送され病院死となる場合もある。
  2010年の統計では、病院死が80%、在宅死が13%、施設死が5%である。昔は在宅死が当たり前であったが、近年は病院死、施設死が多くなり、在宅死は恵まれた環境がある人だけの死に方になっている。

3.長寿の道は、「自立自尊」
  長寿であるためには、まず、好きな時に自由に行動できる身体的活動力を維持してなければならない。その健康づくりの基本は、正しい姿勢で歩くことである。
  背筋を伸ばし、膝を伸ばして、踵から地に着ける脊椎ストレッチウォーキング法は、高齢者に多く見られる腰椎障害、膝関節障害の予防になり、全身の筋肉を鍛える有酸素運動として最適である。
  元来、日本は「座る文化」と言われるのに対して、ドイツの高齢者のように「死ぬまで歩きつづける」という執念、「歩きながら考える」哲学の道など、ヨー ロッパでは「歩く文化」が基本になっている。当然、寝たきり老人はいないことになる。「自立」とは、自らの力で地面に2本足で立つことと考える。
  尊厳のある死に方は、自尊心のある生き方であり、よく生きることがよく死ぬことである。健康づくりは単に病気にならない予防策ではなく、死ぬ直前まで立ち上がり、好きな時にどこでも自由に行ける筋肉づくりと思う。これが、「自立自尊の道」であり、「自立自尊死」である。
  自然界においては、立ち上がれないことは死を意味する。人間は生まれてから立ち上がれるまで親の助けが必要である。2本足で立つには多くの姿勢維持筋肉群の協調運動を日常に訓練する必要がある。いかなる病気になっても立ち上がる努力を怠ってはならない。たとえ要介護者になっても本人に立ち上がる執念がなければ、介護は死に向かう道であり、生に向かう道にはならない。
  与えられた命の最後の一片まで使い切った時、立って死ぬことができる筋肉を温存しなければならない。これこそが究極の死に方
「自立自尊死」である。
 

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